「自然さと作家性を感じる稀有なドキュメンタリー作品」

『アダマン号に乗って』は、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アマダン号」を取り上げたドキュメンタリー映画。精神科医療の世界に押し寄せる「均一化」「非人間化」の波に抵抗し、共感的なメンタルケアを貫くアダマン号の日々を優しい眼差しで捉えた。

『音のない世界で』(92)や『ぼくの好きな先生』(02)などで知られるフィリベール監督だが、本作には監督と20年来の交流をもつ配給会社ロングライドが『人生、ただいま修行中』(18)に続き、共同制作として参加。

 ドキュメンタリー映画の金熊賞受賞はベルリン国際映画祭史上2度目の快挙とのことで25カ国以上での公開が決定し、このほど日本でも時期を繰り上げて公開されることになった。

 4年ぶりの来日を果たしたフィリベール監督は、金熊賞受賞について「まったく予想していませんでした。コンペ部門で上映・ノミネートできただけでも嬉しいことでした」とトーク。