諫間は第2話のラスト、金に困っているだろうと涼子に仕事を回すと言っており、次回の話も諫間の紹介で来た客が依頼に来ることになるようだ。だが、気になるのは、諫間が敵か味方かという点だ。涼子は「人は信じるな」という教訓を胸に生きているが、諫間もまた、誰も信用していないという。恨まれていることを承知で涼子に仕事を依頼した際、「私も誰も信用していない。頼めるのは君しかいない」と淡々と話していた。しかも娘の捜索は、娘がかわいくて何にも代えられない存在……ということではなく、グループの業績が悪化しており、娘が行方不明だと表に出れば株価に影響が出ることを懸念していただけ。とにかく非情で、冷酷な人物のようだ。そんな諫間が涼子に仕事を回すというのは、何か裏があるのではないだろうか。
つかみどころのない諫間という人物を演じているのが仲村トオルというのもポイントだ。2年前の裁判シーンでの諫間は、疑惑をかけられているにもかかわらず、妙に穏やかで、涼子が相手を追い込んでいる際も、何のリアクションも見せずにいた。まるで裁判など興味がないかのようなその佇まいは、得体の知れないものも感じさせた。その姿に既視感を覚えた筆者が過去の記憶を辿った先に思い浮かんだのは、1998年放送のフジテレビ系ドラマ『眠れる森』に登場する殺人犯・濱崎輝一郎だ。主演の木村拓哉と対を成す黒幕を演じた仲村は、品行方正なエリートサラリーマンの顔に隠された、自分本位かつ冷酷無慈悲な殺人犯という二面性のあるキャラクターを演じ切った。そんな仲村が諫間を演じているとなれば、裏があるに違いないと想像を働かせてしまうのは、ただのドラマフリークの勘ぐりにすぎないだろうか。
また今回は、涼子vsエリの格闘シーンもなかなか見応えがあったが、ただ長身女優同士で戦わせるというだけでなく、涼子の過去と絡めているという点でも重要なシーンだっただろう。過去の暴行事件で涼子は、野間口徹演じる男性を無表情のまま執拗に殴りつけていたが、その記憶はないのだという。エリを地面に組み伏せた際、涼子はエリを殴りつけようとするが、急に頭を抱え、手を止める。過去の暴行がフラッシュバックしたかのような演出だったが、涼子は一体なにを抱えているのだろうか。本作は知力だけでなく、暴力でも敵を成敗する展開が続いているが、どこかで涼子が暴走するという伏線なのかもしれない。涼子にもまた、得体の知れない部分があるようにも感じられる。