◆妻と夫の“主従関係”ができている新名家

 まず楓はファッション雑誌『GINGER』の副編集長として多忙な日々を送っており、不仲ではないが誠とのコミュニケーションはほとんどとれていない。そのため日々、着実にすれ違いを重ねている。誠はそんな状態に不満を感じている様子だが、職場とは違い、家庭では良く言えば“尻に敷かれている”、悪く言えば“主従関係ができている”ために楓に遠慮するばかり。

第2話より
 勇気を出して自身の思いを伝えてほしくもあるが、誠は父親の顔色ばかりを気にする母親の姿を幼少期から見てきたため、夫婦間でどのようにコミュニケーションを取って良いのかわからず、今日までズルズル来てしまったのだろう。だからこそ、結婚してからの7年間、現状維持を続けてきた結果、まろやかでありながらも修復不可能な関係に陥ってしまったようだ。