◆“瞬間的な表情の変化”が脳裏に焼きつく
本作で横浜流星が演じるのは、ゴミ処理施設で働く作業員の青年・片山優。彼は仕事中に村長の息子からいびられ続け、わずかな給料も母親の借金の返済に消えていく希望のない毎日を過ごしていた。
生き地獄そのものの日常を過ごす、横浜流星の目の輝きがないどころか“生気ゼロ”の姿も凄まじいが、誰もが息を呑むのは、古田新太演じる村長のとある言葉を聞いて、表情をガラリと変える様なのではないか。驚きと戸惑い、同時に沸き起こる喜び、それぞれがないまぜになったような“瞬間的かつ複雑な表情の変化”は、脳裏に焼きつくような衝撃があった。
テレビ番組『フィルメンタリー』の特集では、横浜流星自身が「いちばん痺れる場面」として同シーンをあげており、実に15テイクを費やしていたのだという。繰り返し撮影した甲斐のある、もはや再現は不可能なのではないかと思えるほどの瞬間的な表情の変化を目撃してほしい。