境界知能を持つ人たちは、統計的に全人口の14%いるとされ、35人のクラスに5人はいる計算となる。恵はその事実を誰からも気づかれず、平均的な知能の人たちと同じ土俵で勝負させられ、社会から取り残されてきた。そして、ある過ちから子どもを身ごもり、人知れず赤ちゃんを産み、捨てた。女子少年院に勤務する精神科医が、少女のある特徴を発見する。「ケーキを3等分できない」認知のゆがみが引き起こす悲しみの連鎖。衝撃の事件から1年、少年院を出た彼女は小さな命と向き合おうと決意する。

 平均値には及ばない“境界知能”に該当する主人公・小平恵を小林桃子、その母を工藤夕貴、悲しみを抱える非行少年を最前線で救いたいと願う精神科医を平岡祐太が演じる。会社で「“できないヤツ”とバカにしている人がいるのでは?」、学校で「“あいつは空気を読めない”と安易に除け者にしている人はいないか?」。 その“できない”、“空気を読めない”には理由があるのかも。いま社会が向き合うべき“見えない問題”を描く。