そして僕たち「ホーム・チーム」と「東京ダイナマイト」は数年の時を経て「完売劇場」(テレビ朝日系)という番組でレギュラーになり、親交を深めていった。まあ親交を深めるといっても、元々人見知りな僕と、独特な雰囲気を纏っている二郎さんとではプライベートで遊ぶような関係にはならず、同じ番組をやっていないよりは仲良くなったという程度の親交の深さであった。
今思えば、僕が芸人らしい人がとても苦手だったというのも親交を深めきれなかった原因のひとつだろう。この場合の芸人らしいというのは、良い意味で何を考えているかわからない人のことを指す。何年か一緒に番組をやらせてもらったが、話せば話すほど二郎さんが何を考えているかわからないということが多々あった。ものすごく思慮深いような何も考えていないような。その独特な二郎ワールドの全貌が見えないし、にこやかな目の奥にある変人の匂いが恐怖で僕はイマイチ踏み込むことが出来なかったのだ。たぶん二郎さんは芸人として天才の域におり、僕のような一般芸人には理解し難かった。
松田さんという強力な相方を手に入れポップな「東京ダイナマイト」になったとはいえ、ハチミツ二郎という芸人はやはり一筋縄ではいかず、事務所を転々としたり、IT企業に正社員として入社したり、「二郎貝」というオンラインサロンを開催したり、普通の芸人とは一味違う路線で突き進んでいる。
昔は奇抜な思考でカルト芸人のような立ち位置だったが、今はその思考が時代にマッチして、最先端の思考を持つ芸人になったといっても過言ではない。果たして次はどのような「東京ダイナマイト」、「ハチミツ二郎」の進化した姿を見せてくれるのか。同世代を駆け抜けた芸人として、とても楽しみである。