『RRR』は、ラージャマウリ監督の前作『バーフバリ』シリーズに比べて、全体的に女性の描き方が弱いという意見もあるが、アーリヤー=強い女性というこれまでのイメージが『RRR』内でメタ的に機能しているからこそ、ラーマとビームの物語に安心して焦点を当てることができたのだろう。

 というのもアーリヤーは、2010年以降、インドにおける強い女性像を背負ってきた女優のひとりでもあるからだ。強く生きる女性を演じられるインドの女優は誰かと考えると、真っ先に思い浮かぶ人物であることは間違いない。

 またそういったイメージの部分だけではなく、アカデミー賞のノミネート候補にも選出された『ガングバイ・カティヤワディ』(22)では、プリヤンカー・チョープラーやラーニー・ムケルジーといったトップクラスの女優も候補に入っていながらもアーリヤーが主役の座を勝ち取り、見事にシリアスなマフィアクイーンを演じきった。その演技には説得力があり、高く評価されるポイントになっている。