妻を亡くした主人公・エドガンとホルガの独特な距離感

 魔法を使ったエフェクトバトルやさまざまな動物に変身できるドリックの逃亡シーンなど、ビジュアル面で魅力的なシーンが多く、モンスターのデザインも独特で観ていて飽きない。

『モータルコンバット』(2021)も、無駄なストーリー性を排除し、徹底して格闘ゲーム感を演出していたように、ゲームを映画的に変換するのではなく、ゲームをゲームらしく映像化するのもひとつのアプローチとして定着しつつある。

 そんなこんなで全体的に娯楽作らしいざっくりしたキャラクター構造ではあるものの、その中で際立っているというか、今作の一番魅力的な部分は、主人公エドガンとホルガの独特の距離感の先にある関係だ。

 エドガンの妻が敵の襲撃によって殺され、幼子キーラを抱え途方に暮れていたエドガンを救ったのがホルガなのだが、このふたりはすぐに疑似家族のようになり、キーラもホルガを母親のように慕っている。だが、エドガンとホルガは決して男女の関係ではない。

 家族ではあっても、それぞれが独立し尊重し合っている関係性からは、種族、人種、性別を超えた友情のようなものが透けて見えてくる。