所謂、音楽媒体でこんなん書いたら間違いなく大目玉からの出禁なのだろうか? でもこれこう表現するほかのライターさんが自分の見渡す限り皆無であるのも不思議なくらいに、本作はダサい。だからサイコーなのだ。まさかあのワンオクがこの路線からの一撃をぶちかまして来るとは思わなんだ。
「Eye of the Storm」で見られた肉感的な生演奏をかなぐり捨ててまで歌メロに全振った前作の挑戦(本人達からして見ればそれも挑戦だなんて大それたものではなく、もっと楽しみながらの制作であったかも知れないが)を経て、そのある種大仰とまで言える大陸的な歌メロに対して、素直にそして愚直に何ならちょっと、いや、堂々とベタで(即ちダサい)大陸的な生演奏を足し算掛け算してみせるだなんて、全く爽快極まりなく痛快無比である。もう一度言う。サイコーだ。
先ずは自身のロック回帰を高らかに宣言する「Save Yourself」の先制パンチより始まり、からのおっさんの推し曲、ワンオクで1番好きな曲となった「Neon」へと繋がる。おっさんにはアルバムではなく楽曲の方の「Eye of the Storm」のしゃくりまくるサビが最早、コブシを利かせている様にしか聴こえなかったのだが(再三繰り返すがこれもいい意味で言っているしここまで言って伝わらないのであればもうこの記事は読まないほうがいい)、この国内ロックでは余り見られないデッカいシャッフルビート、わざとチープに録ったであろうAメロBメロの合間に入るギターのブルージーというかハードロッキンというか開き直ったかの様な旧時代的なオブリ(オブリガート)はどうだ。そちらに乗せて朗々と、何なら芝居掛かってすらいるサビの歌メロはどうだ。”Burning brighter than the sun”の”sun”なんて正にコブシではないか。 全部わざとらしい。でも全部カッコいい。これを胸張って演れるだなんて最早羨ましくすらある。
ちと話は逸れるがそもそも欧米ロックには当曲の様なシャッフルのミディアムテンポはよく見られるが、国内ロックにシャッフルのミディアムテンポは余り出て来ない。得手不得手の話なのだろうか。とはいえだから海外の方が優れているという話では決してなく、むしろ海外では国内ロックによく見られる早いテンポの直線的なエイトビートの楽曲は余り聴かれない。
ライフ
2023/04/12
ワンオク『Luxury Disease』ダサくて最高!楽曲レビュー
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