新年度になりましたね。新しい企画が立ち上がったり、新しい仕事が始まったりする時期です。何かを始めようというエネルギーが溢れるこの時期は、編集者さんにお預けした企画をリマインドするのにも適しています。
出版翻訳の企画を出版社に持ち込んだ後、悩ましいのがリマインドのタイミングです。早ければ1週間ほどでお返事をいただけることもありますが、たいていは長くかかります。出版業界の様子はなかなか外からはうかがい知れないものなので、持ち込み企画に反応がないと、「どうしてお返事がないんだろう」と悶々としてしまう方が多いのです。だけど、ここで編集者さんの立場に立って想像してみると、状況の捉え方も変わってくるのではないでしょうか。
編集者さんは、たいてい複数の企画を抱えているものです。そこにあなたが持ち込んだ企画があったとしましょう。「検討します」と言って預かったものの、社内での企画会議は終わったばかりでした。次回の企画会議は翌月です。そうすると検討結果が出るのは、早くても約1か月後になります。
ところが、1か月後の企画会議の際には、以前から抱えていた企画を提案しなければいけなかったので、あなたの企画は手つかずのまま終わってしまいました。翌月の企画会議に回すつもりでしたが、別の企画に関連した書籍が他社から発売され、そのテーマが流行りそうな気配を見せました。そこで、そちらを先に企画会議にかけることになり、あなたの企画はまた翌月に持ち越されます。……こういう具合に、数か月かかってしまうものなのです。
そんな事情も踏まえて、リマインドしていくといいでしょう。その際にどんな文面にすればいいのか悩む方が多いので、新しい話題を提供することなどをおすすめしています。その点、新年度が始まった時というのは、それ自体が新しい話題なので、あれこれ悩まずに済むのです。
「でも、そのタイミングを逃してしまったら? そういう時にしかリマインドできないの?」と不安になる方も、大丈夫です。GW明けもそうですし、新年度ほど大きな転換点ではなくても、仕切り直す気分になるタイミングというのは意外と多くあるものです。