厚生年金保険料は、会社員の多くが無意識に支払っているお金である。企業が給与から予め差し引いているため、手元に届く給与明細を見ないと気付かないことも多いだろう。だがその保険料がどういったものなのかが把握できれば、厚生年金保険への理解はより深まる。
厚生年金保険料とは
厚生年金保険料は年金制度という仕組みにおいて、一定の年齢に達した受給世代の人々への給付金の原資として現役世代が支払うお金である。厚生年金保険は会社など事業所単位で適用され、基本的にその事業所で常時働いている70歳未満の人は加入者となる。会社などに入れば厚生年金保険の被保険者資格を取得し、退職すれば資格を失うことになる。
退職した場合、以後その事業所で厚生年金保険料を支払う必要はない。だが日本においては、ほぼ全ての人が国民年金など別の年金保険に加入するような仕組みになっている。別の厚生年金保険が適用されている会社に転職した場合は、そこで同様に保険料を支払うことになる。
厚生年金保険の加入者は原則毎月の給与から、また賞与から保険料を支払う。保険料は事業所の事業主によって被保険者の報酬から自動的に差し引かれ、日本年金機構に納められる。
厚生年金保険料の決まり方
厚生年金保険料は毎月の給与と賞与に一定の保険料率を掛けて算出する。その保険料を事業主と被保険者が半分ずつ、労使折半という形で負担する。保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されており、そのため被保険者の負担分は給与及び賞与額の9.15%分となる。
保険料計算における毎月の給与及び賞与とは、標準報酬月額と標準賞与額の事を指す。標準報酬額は被保険者が受け取る基本給に各種手当などを含めた額をもとに決定される。残業手当や通勤手当、役付手当、勤務地手当、住宅手当、家族手当などに加え寮といった宿舎や自社製品など現物給与と呼ばれる部分も含まれる。
標準報酬月額はその給与額に応じて、厚生年金保険料額表を参照のうえで決定される。厚生年金保険料額表は給与額を一定の幅をもたせたうえで30ほどに区分し、その各区分に標準報酬月額を対応させた一覧表だ。各区分には等級という番号が付されている。
標準賞与額は税引き前のボーナスなどの賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額となる。期末手当、夏季及び冬季手当、年末手当、現物などを含む、年3回以下の回数で一時的に支給されるものだ。賞与の上限額は1回の支給につき150万円である。