駿府城公演で上演される『天守物語』、注目アーティストの作品を身近に楽しむ「ストレンジシード静岡」
演劇祭と同時開催される、広場や公園、路上など、身近な場所でアートに出会える「ふじのくに野外芸術フェスタ」では今年、宮城演出の代表作『天守物語』が上演される。1996年の初演以来、日本国内のみならずインド、パキスタン、中国、韓国といったアジア各地やヨーロッパなど世界30都市で上演を重ねるうちに、「アジアの文化がいかにダイナミックに交流してきたか。そして地下水のように共有しているものがあるということが実感としてわかってきた」(宮城)という本作を駿府城公園で上演する。宮城演出の特徴である「俳優による生演奏」と「二人一役の手法(ひとつの役を“台詞”を担当する俳優「語り手」と“動き”を担当する俳優「動き手」のふたりで演じる)」をはじめ、アジアの多様な演劇の伝統を現代の新しい創作につなぐ趣向が散りばめられた“祝祭音楽劇”。SPAC公演ならではの特徴として、「時間の感覚だけは現代の人間の時間間隔にマッチするよう意識した」(宮城)というあたりにも注目したい。
なお、2日には「東アジア文化都市2023静岡県」春の式典でも上演され、5月27・28日には浜松城公園での野外上演も決定している。
SPACレパートリー
『天守物語』
ジャンル / 製作都市・国:演劇 / 静岡・日本
公演日時:5月3日(水・祝)、4日(木・祝)、5日(金・祝)、6日(土)※各日18:45開演
上演時間:65分 ※各回開演35分前よりプレトークあり
演出:宮城聰 作:泉鏡花 音楽:棚川寛子
会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
【ストレンジシード静岡2023全ラインアップ】
5月4日(木・祝)~6日(土)に開催されるストリートシアターフェス「ステレンジシード静岡2023」では、「ストリートシアターってなんだ?」をテーマに掲げ、「日本では定着していない“ストリートシアター”について参加アーティストと共に考えたい」(ストレンジシード静岡フェスティバル・ディレクター:ウォーリー木下)という今年、一部海外作品を除き、国内アーティストは全て新作を発表。駿府城公園周辺の市民の憩いの場となっている駿府城エリア、静岡の街の中心地となっている市役所エリア、個性あふれる店舗が並び発展をし続けている人宿町、毎日江崎ビルエリアを舞台に、ストレンジシード静岡がプロデュースする作品を含むまさにフェスティバルの核となる「コアプログラム」、ストレンジシード静岡とタッグを組んだアーティストがストリートシアターの魅力を最大限に引き出す作品を上演する「オフィシャルプログラム」、公募により選ばれたストリートシアターの可能性に挑戦するアーティストによる「オープンコールプログラム」の3つのプログラムで展開する。コアプログラムでは、「本物の空、本物の風が起こってる中で、どうやって観客の想像力を使った演劇が作れるかということを試してみたい」と語る、フェスティバル初のウォーリー演出による作品も上演される。
[コアプログラム]
・『χορός/コロス』(日本)※新作
ギリシャ演劇で生まれた「その他大勢」と「殺す」というふたつの意味を持つタイトルで、自身の記憶に今でも残っているという1985年の豊田商事会長の刺殺事件を下敷きにした作品を想定しており、演劇祭ならではの祝祭感のなかにほんの少し毒が入ったような作品になりそうとのこと。
公演日時:5月4日(木・祝)~6日(土)※各日11:00開演
上演時間:約40分
作・演出・構成・美術:ウォーリー木下
振付・演出・出演:いいむろなおき、金井ケイスケ、黒木夏海、冨田昌則
音楽:吉田能
出演:いいむろなおき / 金井ケイスケ / 黒木夏海 / 冨田昌則 / 公募で選ばれた出演者
会場:フェスティバルgarden(駿府城公園 東御門前広場)
・『Woman with Flower』(韓国)
空中パフォーマンスに特化した韓国のカンパニーが、江崎ビルをキャンパスに、ゴッホの絵を手がかりに、ダンサーが空中パフォーマンスにより壁面で絵を描く。
公演日時:5月4日(木・祝)、5(金・祝)、6(土)※時間未定
上演時間:約30分
演出:アン・ウィスク 振付:キム・ジジョン / アン・ウィスク テクニカルディレクター:ファン・ソンタク テクニカルアシスタント:キム・ミンテ プロデューサー:イ・ランヒ 出演:キム・ジジョン / パク・ジェヒョンコ・ギョンミン / イ・ミニョン 会場:毎日江﨑ビル