ロック自身、冒頭から、ウィル・スミスの話題を小出しにするという演出で、ラストの語りを示唆的に際立たせる。スヌープ・ドッグやJay Zの名前を出しては、

「もう俺はラッパーを怒らせたくないんだ」

と語る。当然、ラッパー出身でもあるウィル・スミスを想起させるこのジョークに観客が大きな笑い声をあげる様子がカメラに映される。とりわけ、この日の会場の大半を占める黒人オーディエンスを中心にカメラに抜かれているのがわかる。

 中盤、ロックは語気を強める。

「今、アメリカではみんなが“注目”を欲しがってる。まさに中毒のようにね」