さて元芸人として、加藤さんや春日さんに浴びせられている声に若干反論したいのだが、まず「嫌々謝罪しているのが見え見え」というものだが、加藤さんは嫌々謝罪しているわけでも不貞腐れているわけでもなく、愁いていたのではないだろうか。
加藤さんの17年に渡りメインMCを務めてきた番組への思いは計り知れない。番組の共演者やスタッフさんはもはや身内と言っても過言ではない。それほど大切にしてきた番組がまもなく終わるというタイミングに自身のせいでこんな炎上騒ぎを起こしてしまった。自分に対する情けなさや腹立たしさで申し訳ない気持ちになったのではないだろうか。そんな自分への怒りが不貞腐れているように見えたのかもしれない。もしネットで言われているように本気で嫌々謝罪をしていたとしたら、加藤浩次という芸人はここまで世間から愛されていないと思う。
そして「そもそもやってはいけない行為で笑いを取る……」という声だが、今回の加藤さんと春日さんのやったことはそもそもやってはいけない行為ではなく、昨今やってはいけないとなった行為なのだ。数年前のテレビ番組を思い出してほしい。蛇や蛙が大量に入った水槽に芸人が入れられるというような企画を見たことはないだろうか。水槽に入れられてもがき苦しむ芸人の滑稽な様を見て笑うというものなのだが、もがき苦しんでいる芸人の足元には間違いなく蛇や蛙がおり、少なくとも踏まれたり押しつぶされたりしていたはずだ。
しかし、その部分に注目し、蛇や蛙が可哀相という声は、面白いという声よりも圧倒的に少なかった。この数年で世間の動物に対する見方が変わってきている。少し前まではテレビ番組で「犬」のことを「犬」と呼ぶことができたのだが、今は「ワンちゃん」と呼ばなければいけない。もちろんTPOにもよるのだが、基本的には「ワンちゃん」と呼ばなければクレームが入りかねないのだ。