しかし、人生の半分を東京で過ごしても「僕は大阪人というプライドや誇りをずっと持ち続けている」と、真剣な面持ちで続ける。

「普段は芝居をやっている時以外はずっと関西弁なんです。新大阪駅で新幹線を降りて、一歩ホームに入った瞬間にも『あ、大阪や』みたいな空気はやっぱりあって。なんというか、空気の匂いが大阪なんだと感じるんです。帰って来ればいまだにほっとするし、実家に帰ってきたような気持ちになります」。

 そんな橋本さんにとっての“大阪での思い出の味”を伺うと、食への思い、そしてこのドラマを通して伝えたいメッセージが垣間見えた。

「僕が劇団をやっていた頃に食べていた“青春の味”というのは、そのお店が変わらず頑張ってくれているので、大阪に行ったら必ず行くところは何軒かありますね。若い頃に食べていたガッツリ系のご飯って、この年になると『俺こんなに食ってたっけ…?』というぐらいの量があったり、少し食べたらおなかいっぱいになってしまうんですけど(笑)、それでもやっぱりうまい。その時の自分に戻してくれる食事や味は、おいしいだけじゃなくて、自分のマインドも変えてくれるんだなと感じます。このドラマも、落ち込んでいようがいろいろな問題を抱えていようが、おいしいものを食べて自分の原点に帰れたり、ポジティブになれたり、そういうものを感じさせてくれると思います。出来上がった映像を見せていただいた時に『おもろいな。これめっちゃおいしそうやし、すごいわ』と、自分が出ているのを忘れるぐらい“食と人情”というものにどっぷり浸れる、そして自分と照らし合わせて見ることができるドラマになっていると思います」。