フジテレビで放送され、Netflixで世界配信された恋愛リアリティ番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していたプロレスラーの木村花さんが命を絶った問題で、母親の木村響子さんが今月6日、都内で会見を開き、フジテレビなどを相手取り約1億4200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことを明らかにした。

 2019年5月から配信されていた同番組(放送は7月から)で、同年10月から出演していた花さんは、2020年5月に自ら命を絶った。同年3月以降、SNSでは花さんに対する匿名の中傷が過熱しており、それを苦にしたものと見られている。

 会見によれば、原告側が訴えているのはフジテレビのほか、番組を共同制作したE&W(放送当時の社名はイースト・エンタテインメント)と、同社から制作事業を承継したイースト・ファクトリー。番組制作側について、原告側は「リアルであることを積極的に宣伝し、出演者が標的になりやすい構造をつくっていた」と指摘しており、深刻な誹謗中傷にさらされる危険性に対して出演者の心身の健康に注意・配慮し、中傷に対応する義務が制作側にあったものの、これを怠ったとしている。

 響子さんは、「裁判は避けたかったが、(フジテレビなどに)一度も真摯な対応をしてもらえず、やむを得ず提訴した。若い人たちが夢を搾取されるようなことは、これ以上起きてほしくない」と会見で語ったという。

 放送担当記者は「これまでフジとE&Wが互いに責任をなすり付け合い、響子さんに謝罪をしようとしなかったことから、ついに裁判沙汰に発展してしまった」と説明する。