後日、赤ちゃんは保護施設に引き取られることに。深夜は自分の価値観だけで判断しようとしていたことは間違っていたと認め、涙をこらえて赤ちゃんを送り出す。そして物語はラストシーンへ。雪の降る夜、踏切を隔てて偶然再会した鈴と一星。一星は、手話で「雪宮鈴、好きだ」と告白したところで第2話は幕を閉じる。

 自由で強引で、真っすぐな一星に心を許していく鈴の姿が描かれた第2話。告白するのは早いのではと感じたが、それ以上に視聴者からは「胸キュンがすごい」「可愛い」という声が多く上がった。居酒屋のシーンで、遠くから一星と春の手話での会話を見つめていた鈴が「外国にいるみたいだった」と表現しているところは、筆者も非常に共感できた。聞こえる、聞こえないという関係ではなく、言葉以上に通じる気持ちを大事にすることで展開されるラブストーリーなのだろう。

 また第2話では、匿名妊婦の問題をきっかけに、個人の事情に強引に介入することは正しいことなのか、親がいないことや耳が聞こえないことは「かわいそう」なのか……といった問いかけも根底にあった。特に匿名妊婦については、「産んだらみんな幸せとは限らない」「我が子だから必ず愛せるとは限らない」という言葉とともに、「危険な闇中絶や孤立出産、新生児の殺人」を防ぐために、日本でも匿名での出産が認められるといいのに、と鈴が口にする場面もあった。出生率の低下が問題となる現代社会において考えさせられるテーマが自然と織り込まれたのは、産婦人科医と遺品整理士の2人が「《命のはじまり》と《命の終わり》をつかさどる2人」と表現されている本作ならではだろう。