鈴は病院で、匿名の未受診妊婦(清水くるみ)の分娩介助を行い、無事に出産。しかし「子どもなんかいらない!」と言い、生まれた子どもに会おうともせず、出産直後にもかかわらず帰宅しようとする。新人医師の佐々木深夜(ディーン・フジオカ)は匿名妊婦の態度に納得がいかず、「赤ちゃんを見れば気が変わるかも」などと勝手に説得を試みるが、かえって妊婦の感情を逆なでする結果に。自分の価値観を押し付けようとした深夜に、鈴は適切な処置を施したものの母親を助けられなかったケースで裁判を起こされた過去を話し、「自分にとっての正解が患者さんにとっての正解とは限らない」と指導する。深夜は口にはしなかったが、回想シーンからするとどうやら、妻が出産中に母子ともに助からなかったという経験があるようだ。

 その夜、一星は仕事終わりの鈴をやや強引に居酒屋に呼び出す。そこには一星の同僚の佐藤春(千葉雄大)もいた。春を交えた会話に心がほぐれ、一星の自由な生きざまに惹かれていく鈴。翌朝、匿名妊婦が子どもを置き去りにして病室から消えた。深夜は「親になりたくても、なれない人もいるのに……」「このままじゃ赤ちゃんがかわいそうです」とため息をこぼす。

 夕方、仕事を終えた鈴のもとに一星が現れる。鈴が匿名妊婦の事情を話すと、一星は「置き去りにされている赤ん坊がかわいそうだ」と、探しに行こうと息まく。しかし鈴は「(赤ん坊は)まだ2日しか生きてないのに、かわいそうだとか不幸だとか決めつけられるのは、なんかおかしい気がする」と伝える。深夜やほかの看護師たちが口々に「かわいそう」と決めつけている状況に、ずっと違和感を持っていたのだ。鈴は、「親がいなければ、必ず“かわいそう”なの?」と一星に問いかける。両親を事故で亡くした一星は周囲から「かわいそう」と言われ続け、心のどこかで自分はかわいそうな存在だと思いながら生きてきた。「俺も、かわいそうじゃない?」と鈴に尋ねる一星。鈴は「一星はかわいそうなの?」と驚き、「私から見た一星は、自由で、自信満々で、ポラリス(遺品整理会社)のエースで、頼んでもない遺品届けてくれるくらいお節介で。うらやましいくらい魅力的な人生だと思うけど。……かわいそうなの?」と返す。一星は“個性的”だが、「かわいそう」ではないというのだ。一星は微笑みながら、自分はかわいそうではないと首を横に振った。