60歳以降の返済額はいくら?

Fさんご夫婦の退職金は、ご主人が2,000万円、奥様が1,000万円、合わせて3,000万円です。老齢年金は、二人とも厚生年金に加入されていましたので、ご主人が20万円、奥様が11万円、合わせて31万円です。

現在の収入は、お二人合わせて毎月77万円。支出は80万円で、毎月3万円赤字となっています。ボーナスは、ご主人が200万円、奥様が80万円で合わせて280万円となり、赤字分はボーナスから支払いますので、ご夫婦にとっては今まで問題だと感じにくい状況だったそうです。

しかし、住宅ローンの返済明細表を確認させていただくと、57歳時点での住宅ローンの支払残高は、2,520万円となります。年金生活になってからも管理費などを含め、毎月15万5,000円の支払いが必要になりますので、年金だけでは不足するでしょう。今の生活を直さず退職金を使っていると5年ほどでなくなってしまいます。

Fさん(ご主人)は、来年は役職をはずれ、年収は下がるとのこと。60歳以降は、さらに下がることが予想されるので、会社の再雇用制度を利用するか、別企業へ再就職するかは検討中とおっしゃいます。

先の見通しを早めに考えておく

もしもこのまま、毎月80万円の支出を削減できなければ、来年から住宅ローンの支払いが滞るようになり、自宅を手放すような事態になってしまうかもしれません。すぐに今までかけていた費用を減らして毎月の支出を改めるようにお伝えしました。

フラット35に借り換えをされると、毎月の返済額を約1.4万円下げられ、支払総額を300万円以上減額できます。また、削減できた支出やボーナスを使って繰り上げ返済をされると、将来の支払額はさらに抑えられます。お二人で力を合わせてがんばっていただきたいと思います。

収入が多くても、何とかなる、では済まない事態になることがあります。しかし、良くないと気づいて修正すれば、改善できる可能性もあります。皆さんも老後資金の準備ができているか、ぜひご確認をなさってください。

 
 

文・藤原洋子
所属・FP dream代表
生命保険会社で営業職を経験し、AFP資格を取得。現在は、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、執筆、相談、セミナーを通して活動しています。

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