「国政を混乱させたこと」の責任を取って、竜崎は総理大臣を辞任することになったが、結論から言えば、鷲津の“自爆”は何の変化も起こせなかった。引退後も鶴巻は政治の“秩序”を守る存在として居座り続け、鶴巻の傀儡が新首相に。竜崎も反社との関係をただされることはなかったようだ。だが、花を咲かせて竹が枯れても、古い竹やぶがなくなることで日当たりがよくなり、新しい竹が芽を出すことで再生していくという説があるように、永田町の一端は鷲津の“正義の罠”によって枯れ果て、そこには弱者に寄り添うことを誓って代議士となった可南子の姿があった。
鷲津の元妻として可南子はあからさまな嫌がらせを受けるが、可南子の後ろ盾には元厚生労働大臣の鴨井ゆう子(片平なぎさ)がおり、鷹野が味方し、鷲津の有能な秘書だった蛍原梨恵(小野花梨)も秘書として支えることになる。そして空いていた政策秘書の座に立候補したのは、証拠不十分で選挙違反について立件を逃れた鷲津だった。ミイラ取りがミイラになってしまった鷲津のように、可南子もまた正義を貫こうとするうえで権力という魔物に誘惑されることもあるかもしれない。だが、鷲津の“破滅”を目撃した周囲の人たちにとって、それは厳しい教訓となったはずであり、何より鷲津自身が身をもって体感したことだ。可南子は鷲津の支えを受け、「より強い、新しい竹」となるだろう。全11話を通じて描かれた鷲津亨の物語は、“代議士・鷲津”としてはビターな結末を迎えたが、しっかりと希望を感じさせる最終回でもあった。
■番組情報
月曜ドラマ『罠の戦争』
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳 ほか
脚本:後藤法子
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
プロデューサー:河西秀幸
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/wana