尾野真千子との夫婦漫才的なやり取りも

中村倫也が“爬虫類系”の魅力を放つ。『ハケンアニメ!』が非リア充に希望を与えるワケ
(画像=『女子SPA!』より引用)

その中村倫也演じる天才監督と、マジメなプロデューサーに扮した尾野真千子との掛け合いも魅力的だ。夫婦漫才的なボケとツッコミのようで笑えるところもあり、かと思えば真剣に意見を交わすこともあり、共に努力家であるという共通項も見えてくる。彼らの関係性がどのように変化していくのかにも注目だ。

 ちなみに、原作小説における天才監督のモデルは幾原邦彦監督だと思われる(後書きに謝辞としてその名前が載っている)。幾原監督が『少女革命ウテナ』から12年ぶりに『輪るピングドラム』を手がけて話題になったという経歴は、劇中で8年の沈黙の後に新作を手がけ世間を騒がせたことに似ているし、抜群のルックスの持ち主であることも共通しているからだ。劇中アニメの作風にも、幾原監督のファンであれば“らしさ”を感じられるだろう。

いつも仏頂面でストイックさを体現する吉岡里帆

中村倫也が“爬虫類系”の魅力を放つ。『ハケンアニメ!』が非リア充に希望を与えるワケ
(画像=『女子SPA!』より引用)

吉岡里帆演じる若手女性監督はいつも仏頂面だが、アニメに情熱を捧げる、とことん仕事に向き合うストイックな人物だ。その吉岡里帆は、アニメ映画『魔女見習いを探して』(2020)でデビューした、自身の役と「新人女性監督」という共通項がある鎌谷悠監督の指導を受け、仕事をする際の「強い意志と折れない心」の心構えを教わったと言う。

 これまで吉岡里帆は元気な役柄も演じてきたが、今回は映画『見えない目撃者』(2019)や『泣く子はいねぇが』(2020)に通ずる高潔さを感じさせるキャラクターだ。仕事上でストレスを溜め込む不器用さ、それでもクリエイターとしての信念を持ち続ける様に、感情移入ができる人は多いはずだ。