<ROAR STAGE>SPECIAL OTHERS

星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAら15組が熱演 『LIVE the SPEEDSTAR』オフィシャルレポート
(画像=SPECIAL OTHERS Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)、『ぴあエンタメ情報』より引用)

BARK STAGEのGRAPEVINEの熱演に続いて、ROAR STAGEにはSPECIAL OTHERSが登場。9ヶ月連続リリースの第一弾として2月25日にリリースされた最新楽曲「Fanfare」の晴れやかな躍動感で、幕張メッセの空間を心地好く揺さぶっていく。インストゥルメンタルの演奏を主体としたジャム・バンドではあるが――いや、言葉の意味に頼らないインストゥルメンタル音楽だからこそ、宮原"TOYIN"良太(Ds)/又吉"SEGUN"優也(B)/柳下"DAYO"武史(G)/芹澤"REMI"優真(Key)のアンサンブルは、聴く者の中に伸びやかで色彩豊かなイマジネーションを呼び起こしてくる。

「我々がSPEEDSTARに入って、14年ぐらい経ってました。30周年の半分くらい? 微力ながら貢献できて嬉しいです!」と宮原。「SPEEDSTARのCD買っときゃ間違いない、みたいなイメージあったよね? 『おしゃれでかっこいい』みたいな感じで、憧れてたところもあったんだよね。そんなレーベルの、最高のイベントに参加できて嬉しいです!」と芹澤。レーベルへの想いを語る言葉に、惜しみない拍手が広がる。

お馴染みのフライドポテト揚げ上がりサインをダンサブルなグルーヴに昇華した「Potato」の極上の演奏とユーモアでさらに会場の温度を上げたところで、昨年6月リリースの8thアルバム『Anniversary』から「Timelapse」を披露。唯一無二の進化を続けてきたバンドの道程と、その足跡を愛し続けたリスナー/オーディエンスを音で祝福するかのような多幸感が、フロアの隅々にまで温かく広がっていく。そしてラストは「AIMS」! 楽器と心で高らかに歌い上げる、スペアザならではのライブアンセムが、メッセを爽快な開放感で満たしていった。

Text:高橋智樹

セットリスト

M1. Fanfare
M2. Potato
M3. Timelapse
M4. AIMS

つじあやの

星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAら15組が熱演 『LIVE the SPEEDSTAR』オフィシャルレポート
(画像=つじあやの Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)、『ぴあエンタメ情報』より引用)

「楽しいお祭りです。今日は楽しんでいってください!」という、爽やかな言葉で始まったつじあやののステージ。ROAR STAGEのフロアに笑顔を運ぶ、朗らかで気持ちの良いライブである。

ウクレレのメロディに心洗われる「クローバー」が始まると、会場の空気がいきなり変わる。外はあいにくの雨模様だが、パッと晴れ間が広がるような歌声に癒される。踊るような鍵盤、跳ね回るリズムが快活に響き渡る「春風」を、タンバリンを叩きながら歌う姿が印象的だ。

「こんにちは、つじあやのです。スピードスター30周年です。私がスピードスターに来てから20数年になります。最初の頃は右も左もわからないけど、怖いものはなくて。個性溢れる先輩に囲まれながら、マイペースにやってきました」という彼女。おっとりしているようで芯のあるその言葉は、そのままつじあやのの音楽に繋がっているように思う。

約10年ぶりのオリジナルアルバムとしてリリースされた『HELLO WOMAN』から、「明日きっと」を披露する。雲に乗って青空を飛んでいくようなナンバーで、溌剌とした声は虹色の照明に乗って突き抜けていく。山下達郎のカバー「パレード」は、少ない音数ながら贅沢なアンサンブルが印象的だ。

そこからは一転、星空の下で歌っているような照明のもと、「君にありがとう」をスタート。心の奥にそっと流れ落ちるような声が魅力的だ。「スピードスターの素晴らしいアーティストが揃いも揃っています。最後まで楽しんでいってください」というMCから、押しも押されもせぬ代表曲「風になる」へ。

イントロを聴いただけで心が踊る、瑞々しい名曲である。自転車に乗って駆け抜けていくようなメロディと、そよ風に揺れるように手を振るお客さんが眩しい。幸運を運んでくるような声で魅了した彼女は、晴れやかにステージを後にした。

Text:黒田隆太朗

セットリスト

M1. クローバー
M2. 春風
M3. 明日きっと
M4. パレード
M5. 君にありがとう
M6. 風になる

藤巻亮太

星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAら15組が熱演 『LIVE the SPEEDSTAR』オフィシャルレポート
(画像=藤巻亮太 Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)、『ぴあエンタメ情報』より引用)

轟々たるフィードバックノイズを浴びながら、ROAR STAGEには藤巻亮太が意気揚々と登場。今年1月にリリースされた4thアルバム『Sunshine』から「この道どんな道」を歌い上げるアグレッシブな歌声が、会場の期待感を歓喜の先へと導いていく。さらに、レミオロメンとして2004年にリリースした「南風」で、フロア狭しとハンドウェーブが巻き起こしてみせる。

「ひとりひとりの思い出の中に、大事な人が浮かんできたり……そんな曲もあるかもしれません。だからこそ、僕も毎回、新鮮な気持ちで歌わせてもらっております」という言葉に続けて歌い上げたのは「3月9日」。ボーカリストとしての類稀なる表現力、感情の機微を珠玉のメロディへと結晶させるソングライティング……。ポップミュージックの訴求力と包容力そのもののような楽曲で、00年代以降の音楽シーンにその足跡を刻み込んできた藤巻の存在感が、この日のステージにも確かに花開いていた。

「藤巻亮太の現在地の曲だと思っています。不安なことも多い世の中だと思いますけど、みなさんの、静かに戦ってらっしゃる背中を、少しでも押せたらと思います」と披露したのは、2月にリリースされたばかりの配信シングル「朝焼けの向こう」。《諦めるなこの心よ/自分が自分であるために》——パワフルなバンドサウンドが、そして何より藤巻の圧巻のドライブ感が、ROAR STAGEの高揚感をさらに熱く煽り立てていく。そして最後、「今日は寒いですけど……雪まではいかなかったですよね? 最後に、パラッと降らしていきます!」と名曲「粉雪」で大団円! 歌の持つ力を誰もが最大限に体感し得た、至上のひとときだった。

Text:高橋智樹

セットリスト

M1. この道どんな道
M2. 南風
M3. 3月9日
M4.朝焼けの向こう
M5. 粉雪

THE BACK HORN

星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAら15組が熱演 『LIVE the SPEEDSTAR』オフィシャルレポート
(画像=THE BACK HORN Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)、『ぴあエンタメ情報』より引用)

荘厳なSEが流れTHE BACK HORNのステージの幕が上がる。地響きのようなドラミングに乗って荒々しくドライヴしていく「シンフォニア」で、いきなりフロアのボルテージはマックスだ。涙を流しながら咆哮するようなギターが響く名曲「罠」。亡霊のように彷徨う上音と、フロアの床を侵食するように迫ってくる低音に飲み込まれる「美しい名前」。まるでのっけからクライマックス同然のテンションである。

ここでMCを挟んで小休止。嵐の前の最後の静けさだ。「30周年おめでとうございます。所属してから22年が経ちましたけど、結成してから25周年が経ちました。スピードスターが持つ色の変態っぽさと言いますか、キャラの濃い素晴らしいアーティストがいっぱいいます。力に変えて帰ってください」。さあ、ここから怒涛のフィナーレである。

誰もが歌いたくなるようなメロディに惹きつけられる「希望を鳴らせ」が、再びフロアに火を付ける。会場の向こうまでぶっ飛ばすように拳を挙げて歌う山田将司(Vo)の姿が目に焼き付いて離れない。間髪入れずに「コバルトブルー」で畳みかけると、命の限りに叫ぶようなギターと、腹の底にズシンと響くようなベースにクラクラさせられた。強靭なアンサンブルに身を任せ、荒ぶるように身体を動かすヴォーカルもカッコいい。そのどれもが真摯で鮮烈、この歌だけは正面から受け止めなければ、と思わせる迫力があるのだ。

最後は「また会おうぜ」という言葉を残し「太陽の花」へ。咲き乱れるように細かいリズムを刻む太いベースに、嫌でも身体が揺さぶられる。美しい旋律とカオスが同居するサウンド、ドス黒いのに眩しいメロディ、間違いなくこのバンドだからこそ築けた音楽だろう。どこまでも愚直で手加減を知らない、聴く者に生きる糧を与えるようなライブに絶え間ない拍手と拳が上がっていた。

Text:黒田隆太朗

セットリスト

M1. シンフォニア
M2. 罠
M3. 美しい名前
M4. 希望を鳴らせ
M5. コバルトブルー
M6. 太陽の花