――すると、「Automatic」以降で、DJプレイ的に好感触だった楽曲というのは?

DJ HASEBE 『HEART STATION』だと「虹色バス」がサンプリングっぽい音色が印象的でいいよね。『Fantôme』は「ともだち with 小袋成彬」、『BADモード』になると「Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー」かな。

 中期以降はフロアライクな楽曲はそんなに多くないような気がする。登場したときのR&Bの印象が強いけど、あくまでそれは宇多田ヒカルのバックグラウンドの一部であって、彼女自身はR&Bを突き詰めたいわけでもないだろうし、独自の音楽性をストレートに表現していく中で、クラブサウンドとして機能している楽曲が存在する、という感じなんじゃないかな。

「『First Love』のジャケットの唇が素晴らしい」DJ HASEBEの宇多田ヒカル論の画像5