そのため近年では、放送文化や映像文化の発展のために、映像アーカイブを有効活用すべきという声が内外から上がっていました。2020年には、TBSが保管していた討論会の映像を使った映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』がドキュメンタリーとしては異例のヒットをした例もあり、過去の映像は娯楽として楽しめるのはもちろん、教育現場でも活用できますし、学術研究の資料にもなり得る。今やネットに押されて存在感が低下しつつあるテレビ業界にとっては、存在感を示す絶好のチャンスです。NHKが4月にアーカイブ発掘番組を一斉に始めるのは、決して偶然ではありません」(テレビ関係者)
小説や映画は学問の場で研究対象になっているのに、同じ大衆娯楽であるテレビは、そういった俎上にはなかなかあがらない。そういった意味では、今回の過去映像発掘番組に掛けられる期待は大きいが、一方ではこんな意見もある。キー局関係者は言う。
「潤沢な受信料をバックに番組制作するNHKには膨大な映像アーカイブのストックがあり、公共放送という建前がある以上、そういった資産は視聴者と共有するというスタンスを取らざるを得ない。NHKは4K映像の売り込みに必死で、過去映像のリマスターにも力を注いでおり、“放送文化に寄与する”という旗を振って、懸命にその意義をアピールしています。
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