力を持った者は幼稚化するという大皮肉!!

 前作『シャザム!』(2019)では、突如として力を得た少年ビリー・バットソンが、その力に魅了されながら、ヒーローの道を進む姿が描かれていたが、今作でビリーはもうすぐ18歳という設定であり、変身前はわりと落ち着いているというのに、変身した途端、幼稚化してしまっている。

 前作では14歳だったため、約4年経過したことになっていて、もはや子どもではない年齢のはず。それはつまり、力を持ったことで、力に頼り、人間体の成長が止まっている状態で「何かあれば変身すればいい」というダメ人間思考になっているということだ。

 コメディ枠なのだから細かいこと考えなくてもいい、ポップコーンムービーなのだからいいじゃないかという声もあろうし、実際にアクションを盛り盛りにしておくことでストーリー構造の粗さに目が行かないような作りにしてあるのも確かで、今作から『ワイルド・スピード』シリーズのクリス・モーガンが脚本に入っているのも妙に納得がいく。

 しかし、これはかなり皮肉的な描き方にも思えてしまう。なぜならヒーローもヴィランも、力を持ったものは幼稚化、もしくは単純化するということを全体を通して表していて、結果的に力を持った者の末路を描いているといえるからだ。