──いしださんが話されたのは、高層ホテルでのエピソードでした。

いしだ:2000年くらいの出来事で。高層ホテルの部屋で、ケータイでコージくんという友だちとしゃべってたら、突然混線しちゃって、別の友だちのトモミちゃんが出たんですよ。なんだこれは、と思いながらトモミちゃんに聞いたら「家の電話が突然鳴って、出たら壱成君だった」って言うんですけど。僕はトモミちゃんの家電の番号は知らないし、もちろんケータイのメモリにも入ってない。不思議な体験でした。

──2000年頃のいしださんは人気絶頂期ですよね。『未中年』でも、タレント・俳優としての自分が抱えるプレッシャーに、等身大のご自身が押しつぶされかけていたと綴られていました。それを踏まえると、この時期のいしださんに超常現象が起こったことは示唆的な気がして。

いしだ:たしかにそうですね。なんらかの存在が「このままいくとヤバいよ」って伝えてくれてたのかもしれない。

──人気絶頂期から、双極性障害の兆候はあったそうですね。

いしだ:そうですね。ただ、当時はまだメジャーな病気じゃなかったので、ちょっと話しても不思議がられるというか……。周りの人に理解してもらうのは難しかったですね。