家具の上や手すりなど、猫が高い所に登る姿はよく見かけますよね。ときには危険なところやカーテンなどに登って、飼い主さんを困らせてしまうこともあるのではないでしょうか。猫の飼育環境においては、高さを設定してあげることはとても大切なことです。そんな、高い所が大好きな猫にとってのキャットタワーについて、その必要性から上手な選び方などをご紹介します。
1.なぜ猫の暮らしにキャットタワーが重要なの?
キャットタワーは、猫が生きていくうえで“不可欠なもの”ではありませんが、元来持つ本能を満たしながら心身共に豊かに、そして快適に暮らすためにはとても重要なアイテムです。
1猫には高いところが必要
猫は外敵から身を守ったり、他の猫よりも優位に立つための本能から、高い場所を好んで選びます。つまり猫にとっては、高いところ=安心できる場所であり、高いところにいることで本能を満たすことができます。
2猫には上下運動が必要
家具を使って上り下りをしたり、ときにはカーテンによじ登ってしまったりと、猫は上下運動が大好きな動物ですが、これは木に登って狩りをする習性の名残と言われています。また運動不足やストレス発散にもなり、上下運動は健康維持のためにも欠かすことはできません。
3猫にはテリトリーが必要
縄張り意識が高い猫にとっては、自分のテリトリーを守ることはとても大切なことです。室内飼いの猫でもそれは同様で、家の中でゆっくりとくつろげる場所はホームテリトリーとして不可欠な存在。キャットタワーは、そんな“自分だけの大切なスペース”にもなります。
4猫には爪とぎが必要
猫は、獲物を確実に仕留めたいという本能や、肉球部の臭腺によるマーキングのために爪とぎをします。また、爪をとぐことによってストレスを発散させている猫もいます。
2.子猫やシニア猫には?
キャットタワーは何歳から使える?
筋肉の発達など身体的な成長を踏まえると、どんなに早くても生後4~6ケ月以降の使用が望ましいでしょう。
また、それ以前の子猫にとっては、キャットタワーを使って運動をしたり一人遊びをすることよりも飼い主さんとの絆形成をはかることの方が大切です。“心の成長”という側面でもまずは飼い主さんとのコミュニケーションを重視し、心身共に成猫に近づいてからの使用をおすすめします。
子猫やシニア猫・肥満猫がキャットタワーを使うときの注意点
落下の危険性を考慮する
まだ体の発達していない子猫や、思うように体を動かすことのできないシニア猫・肥満猫は、タワーから落下してしまう可能性もゼロではありません。購入の際には背の低いタワーを選び、床にクッションなどを敷いてから使用するなどの工夫をしましょう。
体への負担を考慮する
筋肉や関節が発達しきれていない子猫や、反対に衰えてきているシニア猫・肥満猫がキャットタワーを使用する際には、体への負担を大きくかけないよう対策が必要です。
例えば、ステップの低いものや、らせん状に作られていてステップの見通しが良いもの、補助ステップのついたものなどが良いでしょう。
3.キャットタワーの選び方
安定性の高いもの
柱が太く本数が多い、強度の高い素材が使われている、床に接する面が広いなど、しっかりと安定しているものを選びましょう。天井と床の2点で支えることのできる“つっぱり棒タイプ”も、高い強度が期待できます。
年齢・性格・運動能力によって適切なもの
前述にもあるように、子猫やシニア猫にはステップや背が低いものが適切ですが、活発な成猫にはステップが高く、背の高いものが楽しめるでしょう。
猫と飼い主さん、どちらにとっても使い勝手の良いもの
猫にとっては気持ちの良いふわふわ素材でも、飼い主さんにとっては汚れが気になってしまったり、反対に木製のタワーであればお手入れはしやすいけれど、滑らないか心配…。
そんなメリット・デメリットを考慮して、猫にとっても飼い主さんにとっても使い勝手の良いものを選ぶのが良いでしょう。
例えば、やわらかい生地でもサッと汚れが拭ける素材であったり、ベッド部分が取り外せる、飼い主さんの手の届きやすい位置にある、など利便性の高いものがおすすめです。
飼い主さんの生活スペースに影響のないサイズで
猫にとって必要性の高いキャットタワーではありますが、まずは猫と飼い主さんがともに快適に暮らしていけることが重要です。お互いが心地よく過ごすためにも、飼い主さんの生活スペースもしっかりと確保できるサイズを選びましょう。
組み立てやすいもの
キャットタワーは組み立て式のものが多いため、シンプルな作りで、飼い主さんが組み立てやすいものが良いでしょう。
爪とぎが付いているもの
爪とぎはキャットタワーでのマストアイテムではありませんが、爪とぎが好きな猫にはより充実した、楽しいタワーになるでしょう。
多頭飼いには複数のベッド付きがGood
それぞれの居場所が確保できるよう、多頭飼いの場合はベッド部分が複数あるものが理想的です。とはいえ、必ずしも頭数分のスペースを用意しなければならないわけではありません。可能な範囲で工夫をしながら、それぞれが居場所を自由に選択できるような環境を作ってあげることが大切です。