いや、井口の恋心をめぐる一連のやり取りが“お笑い”であることは、出演者がみんな知っているわけである。知りつつも“疑惑”を強める方向でトークを重ね、そのプロセスを“お笑い”にしてきたわけである。多くの視聴者も「もしかしたら……」を1ミリほど残す曖昧なトークを“お笑い”として楽しんできたわけである。が、河本はそんな構図を全部ひっくり返す。「王様の耳はロバの耳」と叫んだ少年のように。「芸人の本音トークはお笑い」とばかりに。

 こんな発言のあとでは、もう今までのように井口とあいなぷぅの関係を扱えない。これまでと同じように“お笑い”はできない。では、そんな河本のちゃぶ台返しで“お笑い”のトークは止まったのか。

 もちろん、そんなことはない。

 井口は「そんなことも言うな」と河本をたしなめつつ、「好きだから! あいなぷぅのこと好きだから!」とアクセルを踏んで元の方向に引き戻そうとする。井口がそうやって必死になればなるほど、有吉はもう興味は失ったとばかりに次の話題に移ろうとする。淳は「井口はそれを一番言われたくなかったと思うよ」と、この場で井口にとってもっとも嫌な“タレコミ”をしたのがほかでもない相方であったことを指摘し、河本の発言を今回の企画の趣旨と絡めて全体の流れのなかに位置づけていく。