徳川吉宗の逝去とともに、NHKドラマ10、男女逆転『大奥』の第1シーズンが幕を閉じた。現代の渋谷スクランブル交差点に立つ冨永愛(転生した吉宗?)の姿が映し出されるという展開に、心底驚かされた。そして本作が、現代へ向けられた多いなる序章というべきメッセージであると強く思わされた最終回であり、同時に、原作ファンも納得の平賀源内役の鈴木杏や、青沼役の村雨辰剛の顔見せを含め、第2シーズンへの期待を大いに抱かせるものとなった。

◆今の時代にこそ必要なドラマだった

今の時代にこそ必要なドラマだった
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 村瀬(石橋蓮司)の死と同時に行方の分からなくなっていた没日録を受け取った吉宗は、そこで、紀州藩主の三女だった自分が、いかにして八代将軍に成り得たかの真相を知る(ラストの貫地谷しほりは本当に素晴らしかった)。

 よしながふみによる傑作漫画『大奥』は、なによりその大胆な設定により、ファンタジーとしての要素が頭に入ってくるが、その実、非常にリアルな問題を突き付けてくる骨太な人間ドラマだ。しかも史実をなぞりながら。そのことは、原作ファンはもとより、本ドラマを見てきたファンならば十二分に感じてきたはず。

 本ドラマ化は、岡本幸江プロデューサーがコメントしている通り、16年の歳月をかけて叶った念願の企画。長い年月がかかったが、むしろそのことにより、全19巻にわたる原作の完結を経て、この時代にこそ実現すべき運命だったと強く思わされる作品になった。