◆短編から連載ものへ。マルルとハチにはモデルがいた
――さて、『ツレ猫』について教えてください。世の中には癒し系の猫漫画が溢れていますが、『ツレ猫』は、絵柄はすごく可愛く、読みやすくありながら、シビアな現実を描いています。最初に話題になったのは『野良のボス猫が保護されようとする話』という短編ですね。
園田「以前住んでいたところがすごく猫の多い地域で、酷い状態の猫をよく見かけて、自然と描きたい気持ちになっていきました。最初はコピー用紙にボールペンで描いた漫画だったので、こんなにバズるなんて思っていませんでした」
――『ツレ猫』連載にあたって、どういった変更を意識しましたか? マルルとハチにはモデルがいるのでしょうか。
園田「最初の読み切りではどちらも野良猫でしたが、バディものとして連載するなら正反対の属性にしようと思いました。ペットショップの温室育ちの子と、野良の厳しい世界で育ったボスで、どちらの面もクローズアップできるようにしたほうが漫画の幅が広がるだろうと。エサやりの認知症のおばあさんにもモデルがいますが、マルルとハチにもモデルがいます。ハチのモデルはすごく警戒心が強いオスのボス猫で、おばあちゃんからエサをもらっていたハチワレです。マルルは、保護猫カフェにいた異常に人馴れしていた愛嬌のある子がモデルです」
――保護活動をしているキャラクター・やすおが、猫には怖い存在として映るのが「なるほど」と思うと同時に新鮮です。
園田「猫にいいことをしようとしている人間が猫には嫌われてしまうというのは、よくあることなんですよね。獣医さんもそうですし、保護団体やボランティアの方が保護する際にも、猫からすれば何をされているか分かりませんし、捕獲機に閉じ込められて訳の分からないところに連れていかれるわけですから。猫が大好きで、猫のためにしているんですけど、猫は環境の変化が大嫌いなので、そういう嫌な思いをしたり、仲間を取られてしまったりしたら、猫には好かれないというのはよくあることなんだと思います」