◆朝からラム酒をラッパ飲み……夫がうつ病になってしまった

夫や妻が「こころの病気」にかかったとき、配偶者がとるべき道に「正しいもの」はない。それまでの夫婦関係にもよるし、周りの状況にもよる。

かつて結婚後に、うつ病にかかった妻を献身的に看護しながら仕事もし、ふたりの子どもたちを育てている男性に会ったことがある。彼は、「毎日つらいけど、いちばんつらいのはバリバリ仕事をして前向きな人生を送っていた妻だと思う。彼女がよくなるまでがんばるつもり」と語っていた。その数年後、妻はかなりよくなり、一家には安定した穏やかな日々が訪れた。

落ち込む・夫婦・カップル
写真はイメージです(以下同じ)
だがもちろん、これ以上、一緒にいたら自分が潰れてしまうと判断すれば別れもやむなしというケースもある。

「仕事の多忙さと人間関係のストレスで、夫がアルコール依存とうつ病になったんです。最初はストレスからお酒を過度に飲むようになった。ときには朝からラム酒をラッパ飲みして会社に行くこともありました。鬱々とした気持ちをなんとかしたかったのかもしれません。私も仕事をしていたし、当時は子どももまだ小さかったので、なかなか夫の気持ちにまで気が回らなかった」

そう言うのはアズサさん(仮名・40歳)だ。29歳のとき、3歳年上のヨウタ(仮名)さんと結婚、アズサさんの実家近くで生活していた。夫の様子がおかしくなったのは、結婚して5年ほどたち、夫が昇進したころだ。夫は社内でも期待の大きい若手のホープだったという。