◆別人格を抱える夫を「救う」ことはできるのか

ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』の第9話。茜(馬場ふみか)は、義姉から夫・大輔が解離性同一性障害(多重人格)であると聞き、さまざまな状況から「仮面さん」が大輔(野村周平)であると確信した。夫を社会的に抹殺したいと思っていた茜の気持ちに変化が起こる。

連絡を寄越した「仮面さん」に対し、茜は画面越しに「大輔さんでしょ。一度会って話したい」と呼びかける。仮面さんはあわててPCを切り、「僕は麦原明だよ」とつぶやいた。大輔の別人格の名前だ。

麦原明はもちろん、主人格である大輔を知っているが、どうやら大輔は自分の中の麦原明の存在を明確には理解していない様子。その後、混乱していく大輔に、思わず「ちゃんと病院で専門の医師に診てもらわないと……」とツッコミたくなった。

30年ほど前、ダニエル・キイス著の『24人のビリー・ミリガン』(早川書房刊)というノンフィクションが発売され、大きな話題となった。強盗・強姦容疑で逮捕されたビリーには本人を含め24人もの人格が存在していたのだ。

彼は幼い頃、継父から壮絶な身体的虐待、性的虐待を受けており、その影響でどんどん人格が増えていったという。人間の脳の複雑さに驚愕した記憶がある。

次回は最終回。大輔はどうなるのか、茜はどうするのだろうか。