◆男性の主戦場となった大奥

 時は江戸、8代将軍徳川吉宗の治世。吉宗といえば、貧乏旗本の身分を借りて城下へ飛び出し悪玉を成敗する『暴れん坊将軍』のイメージが強い。暴れん坊将軍を演じていたのは、ザ・侍顔の松平健だった。

 当時から世界的な大都市だった江戸を統治するのは、もはや男性の権力によってではない。謎の疫病によって若い男性の人口が女性の4分の1にまで減少。男性は存在が重宝される代わりに、女性のための“種付け”役でしかなくなる。そうした情勢の中、大奥は男性の主戦場となる。

 江戸中から美男子が集められた大奥が仕えるのはもちろん将軍だが、将軍・吉宗に扮するのは、艶やかな着物に身を包んだ冨永愛だ。松平が体現した破天荒キャラと城下を偵察する吉宗像を引き継ぎながら、冨永ならではの凛とした佇まいに目を奪われる。