炭鉱業や工業によって支えられていた町が時代や不景気の波を受けて経済的に死んでしまう。商店街はたちまちシャッター街になり、経済的な復興が絶望的で希望もなく、若い世代はどんどん都会に行ってしまい空洞化が加速する。
そんな地帯のことを“ラストベルト”と呼ぶ。21年のアカデミー賞でも話題になった『ノマドランド』(2021)や、ドキュメンタリーの『行き止まりの世界に生まれて』(20)などの海外作品でも浮き彫りにされてきた問題だが、しかし、それは遠い海の向こうだけの問題ではない。その一歩手前の町は日本にもあるのだ。
今作はそんな日本の工業地帯の小さな町で起きた事件の裏に隠されたある事実が、国や地方の闇を浮き彫りにしていく。
まったく関係がないように思える事件が点と点でつながっていく展開は、ドラマ版同様に健在であり、本作は特に巧妙に伏線が張り巡らされている。