矢吹 「私はグループ(HKT48)に入る前だったので、小学校で『あの動画、見た?』みたいに話題になってて。ずっとAKBのファンだったので、『そこまでしなきゃいけないの?』という気持ちで見ていました」
峯岸 「そういうふうに思わせたかったわけじゃなかった、っていうのが正直なところで。『そんな(坊主)にしなくていいのに』みたいな、すぐ明るい方向に持っていけるのかなと。そういう思いがあったので、あんなにたくさんの人を泣かせてしまったり、悲しませたり、ショッキングな出来事として報道されたりっていうのは、正直、想定外の出来事でした」
あの動画に映る峯岸の雰囲気は、軽く受け止められるようなものではなかった。明らかに傷ついていたから、我々は引いてしまったのだ。
さらに、ここから事態は大きくなる。なんと、世界中のメディアが大騒ぎしたのだ。「武士道の精神?」(アメリカ CNN)、「おぞましい」(イギリス BBC)、「セックススキャンダルに巻き込まれている」(中国 環球時報)などなど、件の動画について各国の媒体は騒ぎ立てた。
峯岸 「まさか、こんなことになるとは思っていなくて。自分だけの問題ではなくなってしまって」
若林 「でも、峯岸さん1人のせいじゃないよね。坊主もあり得る空気ではあったじゃん。やっぱり変なんだよ、海外から見たら。やっぱ、変なんだと思うよ」
当時のAKBに異様な空気感があったのは間違いない。そして、この出来事を経てアイドル界は少し変わったと思う。今もまだ運営がうやむやにしている「恋愛禁止」問題へのカウンターの芽はわずかに生まれ、世間と業界の流れは演者を守る方向に少しずつ動いた気がするのだ。