ただ、ハルさんのモヤモヤもわかる。事前に家事の分担は決めておいたし、プロフィールには「一般的な料理は作れます」と書いてあった。なのに、3日目にまさかの具なし焼きそばが出てきたら、そこはやっぱりモヤっとする。家族や友人ならここで話し合いが行われ、すり合わせしながら解決していくはずだ。「自分たちは割り切った関係だから黙って食べろ」「嫌なら自分で作れ」で済ませたならば、それは友情結婚ではなく契約結婚である。

 つまり、このご夫婦には恋愛感情や友情どころか、情があるかさえ疑問なのだ。世間体を気にし、婚姻届という紙切れを目的とした者同士が行った、自己満足の結婚に思える。情が欠落しているから「不平等だ!」というモヤモヤが湧くし、相手のために何かするのが苦痛だから遠慮なく具なし焼きそばを出せてしまう。

 もし、どちらかの体調が崩れたら、このご夫婦はパートナーの面倒が見られるのか? 友人としての関係ありきの結婚なら、そこは友情で乗り越えられるかもしれない。だから、ハルさんご夫婦の場合は「友情結婚」以外の名称が必要だ。

 難しい問題である。大地真央的に言うと、「そこに愛はあるんか?」的な。2人ともお互い尊重し合えていなさそうだし、いつか別れてしまいそうな予感がプンプンする。ましてや、10年20年連れ添うなんてとても……。

 最も気になるのは、「外に恋人を作ってもいい」というルールだ。

YOU 「彼氏とかいないんですか?」

ハル 「今、いないですね。ただ、気になる人はいます。職場の後輩の子です。後輩の子だったら、『時間がないな』というときも『無理して時間を作って一緒に話したいな』と思えるんですけど、奥さんにはそこまでの感情はないかな……」