原作コミックと映画との微妙な違い

 物語の後半、漫画が描けなくなった深澤は、実家に帰ることになったちふゆに同行する。都会的な雰囲気を漂わせていたちふゆだが、故郷は静かな田舎だった。創作者としての袋小路に迷い込んでいた深澤の前に、海が広がって見える。

 竹中監督が『サヨナラCOLOR』(05)のロケに使った千葉県九十九里浜での撮影だが、『サヨナラCOLOR』の穏やかな青い海とは違い、黒く、荒々しい海となっている。

竹中「これまでに出演した映画やテレビドラマなどで、心に残った場所を選んでロケハンします。深澤が大学時代付き合っていた彼女(玉城ティナ)と待ち合わせる喫茶店は、僕が多摩美時代に通っていたお店です。大学時代は国分寺に住んでいたんですが、当時と変わらないお店がまだ残っているので撮影させていただきました」

 原作、キャストだけでなく、ロケ地も、竹中監督のお気に入りのものが選ばれている。