物語をおおざっぱに説明してしまうと「ありきたり」なただの努力と仲間の物語のように聞こえてしまうが、丁寧な演出と、門脇麦を始めとした実力派ぞろいの俳優陣による演技によって、視聴者を、登場人物たちを応援したい気持ちにさせる作品なのだ。朝陽に「冷血漢、鉄仮面、バ~カ!」と子どものような悪態をつく初音の愛らしさ、認知症のために自分のことを穂刈と勘違いしている穂刈の妻のためにそっと手をつないでいた朝陽の繊細なやさしさ……細部にこそ、この作品の魅力が詰まっている。そして俳優陣が何カ月もの間にわたって楽器や指揮の練習を積んできたことが生きる演奏シーン。ベタで王道なドラマだからこそ、音楽のシーンが最大のカタルシスを生むという展開がばっちりハマる。
最終回を目前に早くも“ロス”を心配する声が続出している『ブラッシュアップライフ』、10代を中心に支持を集めている『大病院占拠』、そして後半戦に入って評価を上げている『リバーサルオーケストラ』。今期は、タイプの異なる3作をいずれも成功させた日テレドラマのひとり勝ちとなりそうだ。