冷静に考えて「お母さんのことが好き」というのは、むしろ子どもとして、1人の人間としていいことなのですが、男性がそれを口に出すことは恥ずかしいことという位置づけになっています。女性が「お父さんが好き」と言うことにはそういうネガティブなイメージはありません。男女を反転させただけなのにこの違いはなんなのでしょうか。文化人類学の先生とかに聞いてみたい案件です。

 この「いいことのはずなのに公言すると面白い」という不思議な構造は「お母さんが好き」を置いて、他に浮かぶものがありません。近しいところで言うと「熟女が好き」と男性が口に出すことも、なぜか面白く感じるのですが、熟女を好きなこと自体はいいこととは言えません。どちらかと言うと、少数派の趣味嗜好が面白く感じさせているような気がします。

「なぜ男が母親を好きと公言することが面白いか?」の理由は解明できないのですが、とにかく面白いのは事実です。母親を好きと言うのはいいことなわけですから、出演者は「私は何もおかしなことは言ってませんけど?」というスタンスで熱を帯びて母親への愛を語ればいい。そして、出演者が熱を帯びれば帯びるほど面白いし、笑わせようとして言っている感もあまり感じないから笑いのハードルも下がっています。だからこそ、このコーナーはずっとニヤニヤしながら見てしまいます。

 そして、芸能人に「お母さんがどれだけ好きか?」をトークさせるコーナーを、政治というお堅いパッケージ・世界観でやっていることも秀逸だと思います。スーツを着て母親への愛を熱弁し、一般の方の前で街頭演説している様はなかなかに滑稽。今後、このコーナーがどんな発展をしていくのか楽しみにしています。それでは今日はこの辺で。