私が編集長時代のフライデーで思い出深いのは「幸福の科学事件」である。この新興宗教団体の教祖について取り上げた記事に、信者たちが猛反発して、電話とFAX攻撃を仕掛けてきた。

 さらに、歌手の小川知子と直木賞作家の影山民夫を先頭に、講談社の前を「フライデーを廃刊にせよ」「社長は謝罪しろ」とシュプレヒコールしながら通るデモが、テレビのワイドショーで取り上げられ、話題になった。

 幸福の科学とは訴訟合戦をやったが、ほとんどはこちらの勝訴で終わった。

 その間、立川談志が間に立って影山と和解しないかといってきた。影山は談志の弟子だから、談志のひとり会に影山が来たときに、オレが2人を舞台に上げるから、そこで2人で話し合わないかというのである。

 好意はありがたいが、舞台の上では口も達者、頭もいい影山にはかなわないから辞退した。

 その影山は、1998年1月に風呂で急死してしまったのだ。死因に不審な点があったようで、なぜだか私が警察に呼ばれアリバイを聞かれた。

 もちろん、アリバイはもちろん、私が影山をどうこうする理由など何もないが、50歳の若すぎる死であった。

 その幸福の科学の大川隆法総裁が亡くなった。享年66。最初の妻も長男も彼のもとを離れ、彼のことを批判した。

 亡くなった人間とは話ができるといっていたが、自分のこれからは見通せなかったのだろうか。この教団は大川の私的な集団だったから、柱を失ったことで存続していけるのだろうか。

 次は新潮の記事。2月23日、静岡県沼津市で会社員の伊藤亜佑美(33)の切断死体が見つかった。

 県警は死体遺棄容疑で会社員の土屋勇貴(31)を逮捕した。遺体の一部は、土屋容疑者の家や車からも見つかったそうだ。

 土屋容疑者は、伊藤の死後、電動のこぎりで遺体を複数に切断したと、県警は見ているという。

 伊藤は、磐田市で実母と2人の子どもと暮らすシングルマザーだった。

 土屋容疑者は妻子持ちで、伊藤とは「別れ話を巡り金銭トラブルがあった」と取り調べで話しているという。

 2人が出会ったのは、伊藤が大手保険会社の保険外交員として働き、土屋も大手保険会社の代理店や子会社を転々としていたとき、社会のリーダーを目指す若手経営陣が集う「日本青年会議所」の地元組織、磐田JCに入会し、土屋も三島JCにいたことで接点が生まれたと見られているようだ。

 彼女には密に抱いていた夢があったという。磐田市の市議がこう話している。

「昨年の夏ごろでしたかね。伊藤さんから“実は市議になりたいんです”と打ち明けられました」

 能力もピカ一だったそうだ。

 2年後には磐田市議選がある。そこに出馬する予定だった彼女の夢を打ち砕いたのが土屋だった。

 2人の間で何があったのか。金銭トラブルとは何か。裁判の過程で明らかになるのだろうか。