――時代と共にアイドルの形が変わっていくのでしょうか。

志茂田 平成期は何十人もメンバーがいる大所帯の女性アイドルグループが全盛となっていましたが、大人数の歌と踊りによる迫力で魅せる時代はもう終わったのかなという気がしますね。そういうグループでも、女優になったり、モデルになったりとソロとして巣立っていく人がいたでしょうが、令和のグループはもっと少人数、3~5人、あるいは最初から1人というような感じになっていくのかなと。そうした時代の変化によって、これからはソロのアーティストが雨後の筍のように現れてくるんじゃないかなと思いますね。

 令和という時代は、たとえば会社勤めの人でも、仕事上の集団のことより私生活の自分ときっちり向き合わなきゃいけない時代だと思うんです。つまり、個人を大切にする時代です。だから芸能界においても、アーティストの活動はグループよりもソロの方が脚光を浴びるんじゃないかと僕は見ています。

――時代の変化というと、最近はアイドルをはじめとした「推し活」がブームになっています。

志茂田 ある意味でいうと、「推し活」というのは手っ取り早いんですね。高齢者の方はともかくとして、今はスマホ一つあればいろんなものの申請なんかも簡単にできる。その手軽さと「推し」を持つことが結びついている気がしないでもないですね。胸の中に「推し」を入れておいて、つらいときに推しが歌ってくれたり、話しかけてくれたりして元気をもらえる。それがネットやスマホのおかげで手軽になった。そういう部分で、今の人たちは「推し」を大事にしているんじゃないかと思いますね。

 僕もそういうところがあるんです。今は車いす生活だから、誰かが僕の好きそうな服を教えてくれても、それを着て外出する機会がないわけですよ。だから僕も人には言えない「推し」を胸に秘めていて、頭の中でその服を「推し」に着せて僕の代わりに外出させている。そういう代理人作用もあるので、「推し」というものが社会で人々から求められているのかなと思います。