なおChatGPTは、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ウォールストリート・ジャーナル、USトゥデイ、LAタイムズなど有力紙を学習していることが確認されており、そのなかには有料媒体も複数含まれている。さらに米国のみならず韓国においても同様の問題が提起されており、国内メディアが調査した結果、聯合ニュース、毎日経済、ハンギョレ、朝鮮日報、中央日報など主要メディアの記事が学習対象になっていることが明らかになった。

 また、大手フォトストックサービス・Getty Imagesは、画像生成AI「Stable Diffusion」を開発するStability AIをすでに訴えている。1200万点におよぶ画像データを許可なくコピーしたというのが訴訟の理由だ。今後、CNNやワーナーブラザーズ、ディスカバリーなども、AI開発事業者がデータを学習する場合、コンテンツライセンス費用を課す方針を検討中だという。

 新たなコンテンツを生成するAIは前提として膨大な量のデータを学習する。その際に使用されるデータの著作権が無視されるとなれば、AIを開発した企業だけが労働の対価を独り占めするという状況が生まれかねない。足元の人間の権利をおろそかにすることで、訴訟が頻発し、生成AIの華やかな未来自体が閉ざされてしまう可能性もあるだろう。

 さまざまな業界で訴訟や問題提起が起こるなか、世界の主要メディアは今後どのように対応していくのか。その動きに注目が集まる。