一作目では泥棒コンビのダブルを演じたスタントマンが、必要以上に派手にすっころんで階段から落ちたり、滑って転んで地面に頭をぶつける。下手すれば大けがしたり、命に係わるようなオーバーアクションである。子供向けのコメディ映画なのに頑張りすぎじゃない?
しかしこの過剰なリアクション演技は、当時のスタント業界に衝撃を与えた。スタントマンは「『ホーム・アローン』のスタントをやった」といえばどこの現場でも持て囃されたという。
これがもし「イテッ」とかいうだけで動きの少ないアクションだったら、この映画はバカ受けしただろうか。子供向けのヒーロー番組だって悪役が派手にやられてくれるから、見ている視聴者は拍手喝采を主役に送るのだ。
「主役の活躍以上に悪役のやられ方が重要」というヒーローものの本質を『ホーム・アローン』は捉えている。この『2』でも前作以上に、泥棒コンビが情けなく惨めにやられ派手に吹っ飛ぶので、観客は腹を抱えて大笑い。トイレに頭を突っ込んで爆発(どういうシーンなのかは、ぜひ放送を見て欲しい)するところなんて涙が出るほど笑ってしまった。
そんな爆笑映画『ホーム・アローン2』にはある問題場面がある。それは序盤、ケビンがプラザ・ホテルに泊まる場面で通りすがりの男に「ロビーはどこ?」と聞くと男は「そこを曲がって左だ」という。
この男はドナルド・トランプ。後のアメリカ大統領。撮影当時、トランプはプラザ・ホテルのオーナーで、映画のスタッフはホテルでの撮影許可を得ようとした際、トランプに「その代わりに映画に出してくれ」とバーターを持ち掛けられ、実現となった。