『100よか』第7話では、これとはまた少し違った形の「罪悪感」も描かれた。第6話から登場している幽霊の原田弥生(菊地凛子)だ。生前、韓国にいた弥生は、運転中に脳出血を起こし、1年前に交通事故で死んでしまったが、それに巻き込まれて亡くなったのが、ソン・ハヨン(シム・ウンギョン)の夫であるウジンだった。弥生はずっとそのことを悔やみ、ハヨンに直接謝罪したいという気持ちが「思い残し」となり、幽霊となって漂っているようだった。弥生は魚住を通じてハヨンに謝るが、ハヨンは「許してあげないといけないの?」と泣き出す。原因が脳出血であることから、医師であるハヨンは、弥生に非がないことは理解しているが、しかしその不条理さに気持ちが追い付かない。
誰も悪くない夫の事故死に「どうして?」の思いがぬぐえないハヨンは、「ごめんなさい。あなたのことは許せない」と弥生に告げて去ってしまう。そしてハヨンは、夫に瓜二つな魚住に「死んじゃうって悲しいです。思い残しがあるのは幽霊だけじゃない」「幽霊でもいいから、会いに来てくれたらいいのに。……ウジンに会いたい」とこぼす。ウジンが成仏していることを知る弥生は、うつむいてしまうのだった。悠依が、自分だけが安全に暮らしていることに抱いた罪悪感は、直木が即座に否定し、魚住もまた直木に強く同意した。一方で、弥生が抱える罪悪感に直面したハヨンは肯定も否定もできず、やりきれない思いをぶつけてしまう。サスペンスやラブストーリーに差し込まれるこうした繊細な心理描写も、『100よか』に惹き込まれる理由のひとつだろう。
■番組情報
金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
TBS系毎週金曜22時~
出演:井上真央、佐藤 健、シム・ウンギョン、板倉俊之、少路勇介、穂志もえか、近藤千尋、桜 一花、平岩 紙、春風亭昇太、荒川良々、松山ケンイチ ほか
脚本:安達奈緒子
音楽:河野伸
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」
警察監修:志保澤利一郎
里親監修:岩朝しのぶ
医療監修:冨田泰彦、藤田浩
プロデュース:磯山晶、杉田彩佳
演出:金子文紀、山室大輔、古林淳太郎
編成:中西真央、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/100ie_tbs