千代の自宅を警察が調べる理由は見つからず、直木と会話できる魚住ももう頼れない。行き詰まりを見せるなか、悠依の美容室に山﨑莉果(佐藤ひなた)という少女が現れ、「尾崎莉桜さんに言われてきました」と言って、助けを求めてきた。莉果は千代のもとにいる少女のひとりで、莉桜が逃がしたようだ。事情を察した悠依はまず莉果をかくまうため、莉果の祖母のもとに送り届け、警察に向かおうとするが、そこに鉄パイプを持った男が襲ってくる。幽霊の直木では悠依を守ることはできない。絶体絶命と思われたところに現れたのは、もう会うなと言われていた魚住だった。
男を現行犯逮捕した魚住は、無事でよかったと声をかけつつ、悠依の危険な単独行動をたしなめる。悠依は謝りつつも、「あの子を助けたかった」「守ってあげたかった」と訴える。そんな悠依を見て、魚住は「ひとつ確認させてください」と断って、「あなたは20年前、彼女たちのような被害に遭われたことはありますか?」と尋ねた。苦しそうな表情で魚住を見つめたあと、首を振って否定する悠依。しかし、それこそが悠依の抱える苦しみだった。同じ里親に預けられていたのに、莉桜と涼香と一緒に遊園地に行ったこともあったのに、莉桜が抱えていたものを何も知らなかった。自分も莉桜や涼香の側にいた可能性もあったが、「あんたはこっち来んな」という莉桜に守られていただけだったことを、ずっと知らなかった。その莉桜に関わろうとして直木が殺されただろうことを考えると、余計に自分だけが生きていることに罪悪感を覚えるのだ。
悠依は、直木が幽霊として見てきた情報を自分が証言したことにすればいいと言い出し、危険だと制止された際も、「でも、前に魚住さんが言っていたとおりなら、その女の子たちは犯罪に巻き込まれてる可能性が高いってことですよね? だとしたら、このままにしちゃいけない。分かってるのに何もしないとか、それは……絶対ダメ」と焦っていた。一歩間違えれば自分も莉桜たちと同じ境遇にいたはずで、自分だけが「こっち」という安全圏にいるような気がしてしまうのだろう。直木は「無事でいることに何の罪があるんだよ?」「堂々と幸せでいろよ!」と叫ぶが、魚住の“通訳”がなくとも、そんな直木の気持ちは悠依も痛いほど分かっているのだった。
第3話で里親に預けられた事情が明かされた直木と違い、悠依の詳しい過去は伏せられたままだ。実の親から離れて里子となっていた悠依にも、何かしら重い事情があるのだろう。悠依が莉桜やほかの少女とたいして変わらない境遇にありながら、「自分だけが恵まれている」「生きてしまっている」と悩む心理は、2018年に同じ金曜ドラマ枠で放送されていた『アンナチュラル』の第7話で描かれた“生存者の罪悪感”(サバイバーズギルド)に近いものがある。