◆“日芸ゆかり”の作品で芽吹き、頂点を極める
山田裕貴を認識したのは、あるショートドラマを見たのがきっかけだった。キットカットが受験生を応援するために製作した『ふたりのきっと、』(2015年公開)で山田は、受験をひかえた主人公の女子高生を励ます誠実な大学生を演じていた。
監督は古厩智之。日芸(日本大学芸術学部)出身の古厩監督の作品だったことから、当時日芸在学中の筆者はこの作品を見て、山田裕貴に自然と親近感を抱いた。まだ目立った出演作品が多くはなかった山田が、“日芸ゆかり”の『ふたりのきっと、』で表現した等身大で繊細な演技力は、彼が大きく才能を伸ばす前哨戦になったことは間違いない。
そして2023年2月10日、ついに山田裕貴がGP帯連ドラ初主演を飾ることが発表された。晴れて山田が主演する『ペンディングトレイン』で脚本を担当するのが、TBSドラマで数々のヒット作を放ってきた金子ありさである。彼女もまた日芸出身者で、古厩監督の後輩にあたる。まるで山田は、日芸卒業生による作品で芽吹き、ついにはキャリアの頂点まで極めたかのような印象を受ける。