トーク中に例えを盛り込む森脇、例えのイマイチさを指摘する若林、ボクシングのようにガードを固めて若林の鋭い指摘を耐える森脇――。番組内ではそんな“鉄板”の型もいつの間にか出来上がった。かと思うと、そんな型がなかったかのようにいきなり森脇が「汗かいて、ベソかいて、恥かいて」と例のごとくシャドーボクシング的な動きを見せる。そこにまたオードリーやなすなかにしがツッコミを入れる。そのコンビネーションも面白かった。
90年代、森脇はたしかにテレビの人気者だった。ただ、本人も認めるように、たしかに面白いとは思えなかった。それを私なんかはつい、“周囲に作られた人気”と振り返ってしまいがちだけれど、今回の『あちこちオードリー』を見ると、周囲が盛り立てた結果として面白くなっているなら、それはそれでいいじゃないかという気にもなってくる。
番組の前半、森脇は若林をこう評していた。
「若林くんはな、目が笑ってないやろ。鶴瓶さんと同じ目してると思わへん?」
若林が笑福亭鶴瓶と似ているかどうかはよくわからないけれど、森脇のイジられ方は鶴瓶に似ている気もする。松竹芸能には「足向けて寝れる偉人」が定期的に現れるのかもしれない。