今回は、うれしいご報告です。第169回「出版翻訳家デビューサポート企画レポート⑬」でご紹介したAさんの企画が通りました! その道のりをご紹介しましょう。
X社に企画をお送りしていたAさん。作品は評価していただけたものの、物語の結末部分が性急な印象で、十分に書き切れていないのではという理由から見送りとなってしまいました。
この物語は登場人物に生じる心の変化を描くことが主眼だから、著者はあえてわかりやすい結末を提示しなかったとAさんは捉えていました。そのため、書き切れていないという評価に驚いたそうです。
物語の終わり方というのは、好みが分かれるところです。「余韻があっていい」と捉えるか、「書き切れていない」と捉えるか……。でも、自分とは違う捉え方を知ることができたので、「そう評価する人もいるかもしれない」という前提で情報を盛り込めるため、企画書を充実させられます。
X社の編集者さんは、時間をかけて検討してくれたことがわかる丁寧なメールをくださったそうです。それを励みに、Aさんは別の出版社に企画を送るも、断られることが続いてしまいます……。
「これまで出版を断念したことがあるか、あるなら何をきっかけに断念したか」を尋ねるメールを私に送ろうかとAさんが真剣に考え始めた頃、ちょうど第202回「出版できる人、できない人」の記事が掲載されました。
その記事に背中を押され、もう一度気持ちを奮い立たせて企画書を送ったところ、試訳を読みたいと連絡があり……見事、企画が通ったのです!
「めちゃめちゃうれしいのですが、信じられない気持ちもあります」というAさん。うれしすぎる反動なのか、「出版社がつぶれてしまって本が出なかったらどうしよう」などと考えてしまうとか。「そう簡単にはつぶれないので、ご安心を」とお伝えしています(笑)