この言葉を用いるのは些か定石がすぎるきらいはあるもののネット社会やコロナ禍を経て偶然か必然かより凄みを増してしまった「Sing Out!」のセンターを務めるメンバーはその歌詞の象徴として、更に中間部では観客の視線を一手に引き受けなければならないソロダンスが存在するというグループ屈指の難曲であると考えるのだが、そのかつてのセンターである齋藤飛鳥の後任が本人をして「乃木坂丸の船長となって舵を切って欲しい」と言わしめた山下美月であった事。

 その楽曲は当該記事にて言及した通りおっさんにとっては泥臭く、そして血生臭くすらあった齋藤飛鳥卒業シングル「ここにはないもの」をグループ加入初期より我が子の様に面倒を見ていた末に「あすかの子」とラベリングされた遠藤さくらが新たなセンターを引き継ぎ、受け継いだと言う事。

 2代目キャプテンとしてグループ激動期(無論初代キャプテン桜井玲香の時期が激動でなかった訳では決してないのだが)の旗手を務め、その任を遂に解かれようとしている秋元真夏が副キャプテン梅澤美波に3代目キャプテン、それは単なる3代目ではない、言わば3期生が最古参になると言う新生乃木坂46のキャプテンを冠した事。

 その他北野日奈子の代名詞であったとも言える「日常」を同じ2期生である鈴木絢音が受け継いで、去り行く自身の演者としての生き様を刻みつけんとするかの様な気迫(最早それは気迫ではなく鬼迫であった)の1幕や、1期生メンバーのみのユニット楽曲であった「やさしさとは」を5期生が受け継ぐ形でパフォーマンスされた1幕など、もうこの日はとにかく先輩後輩が盃を交わす場面の連々続々。