征服者カーンを登場させたことはMCUとしては正解だったのか?

 ディズニープラス配信ドラマの『ロキ』の第6話『とわに時を いつまでも』で、カーンの変異体“在り続ける者”が初登場したことで、カーンという存在がMCU内において明らかとなったわけだが、フェーズ5、6のメインヴィランとして征服者カーンが登場することは、すでに19年から決まっていた。

 カーンというキャラクターは、原作においてもタイムトラベルが可能で、マルチバースに大きく関わる存在であり、マルチバース上に多数存在している。中には平和的考えの持ち主やヒーロー側に所属する者などもいたりして、設定がなかなかややこしい。

 登場させるまでには、MCUの中でマルチバースというワードを一般化しておく必要があったことからも、フェーズ4はカーンを登場させるための環境作りというべきものだったといえるだろう。

 しかしそのやり方が、なかなか強引で、物語の構築に疑問を感じるものが多かった。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)ストーリーは、スパイダーマンとドクター・ストレンジが行ったことが原因だった。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や『ワンダヴィジョン』もワンダが発端。つまり、ヒーロー側の行いが世界を危機にさらすような作品が年々、目立ってきているのだ。